2017年03月23日

正看護師または臨床心理士スタッフ募集中!

早春の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、かなめクリニックでは、デイケア・リワークを一緒にやっていくスタッフ(正看護師あるいは臨床心理士)を1名追加募集しています。現在、正看護師3人、精神保健福祉士1人、作業療法士2人、臨床心理士2人の計8人のスタッフにて、活躍してもらっています。復職へ向けてのリワーク活動を中心に取組を行っております。興味、関心のある方、志を高く持てる方に来てもらえればと願っております。

新規スタッフへ求めるものは、経験や知識、技術では必ずしもありません。それらは、これから十分に時間をかけて一緒に学んでいくことができます。より大切なのは、関わっていく方々に対して、情熱、誠意、誠実さ、真心、やさしさをもって接し、信頼関係を大切に築いていこうとする姿勢、と考えています。デイケア・リワークを通して、「人と人との関わりや、信頼関係が、治療・回復には最も大切である」ことを実践していければと思っています。

スタッフ応募に関しましては、ハローワークに求人を出しています。条件等の詳細に関しては、もよりのハローワークへお問い合わせ下さい。履歴書による書類選考の後に面接を実施します。ご応募を心よりお待ちしております。  院長 要 斉
posted by かなめクリニック at 19:29| 精神科・心療内科

2016年02月12日

「第27回北九州市民精神保健福祉の集い」のお知らせ

みなさまこんにちは。かなめクリニックの要です。一般市民の方を対象とした講演会をご案内いたします。今年で第27回となる北九州地区の心の健康や予防、治療、回復に関する地域啓発活動イベントです。
今回は 「職場うつ」について〜ストレスチェック制度とあわせて〜 をテーマとして、下記の3講演と、会場からの質問へおこたえするシンポジウムとを行います。昨今、働く人のうつ(職場うつ)の増加が社会問題となり、国をあげて取り組みがなされ、平成27年12月よりストレスチェック制度もはじまりました。興味のある方はどなたでもご参加できます。職場うつに対してのメンタルヘルスサポートについて、この機会にぜひ学んでみませんでしょうか。たくさんのご応募をお待ちしております。席に限りがありますので、申込者優先となりますが、当日直接お越し頂く事も可能です(入れない場合もございます)。どうぞよろしくお願い致します。

開催日時:平成28年3月5日(土) 13時30分〜16時30分
会   場:AIM3階会議室 北九州市小倉北区浅野3-8-1
      (AIMビル内 西日本総合展示場新館)
対   象:一般市民 (入場無料) 約200名(参加申込者優先)
テ ー マ :「職場うつ」について〜ストレスチェック制度とあわせて〜

プログラム
     ●13:30〜
       「主催者あいさつ」
     ●13:40〜14:40
      講演T「職場うつ」産業医の役割とストレスチェック制度への期待
         講師:林田 耕治先生 (トータルヘルス株式会社 代表取締役 産業医)
     ●14:40〜15:05
      講演U 医療における職場復帰への支援 @
         講師:丸岡 隆之先生 (黒崎中央医院)
     ●15:05〜15:30
      講演V 医療における職場復帰への支援 A
         講師:要 斉先生 (かなめクリニック)
     ●15:40〜16:30
      シンポジウム コーディネーター 有吉 祐先生 (有吉祐睡眠クリニック)
        シンポジスト:林田 耕治先生、丸岡 隆之先生、要 斉先生、当事者1名
        指定討論者:創造館スタッフ 松田真由美様
     
お問い合わせ・申し込み:
参加ご希望の方は、こちらの参加申込書.pdfを印刷後に、
1.代表者氏名、2.申込み人数、3.ご連絡先をご記入頂き、ファックスにてお申込みください。お申し込みに対しての確認の返信はございません。人数超過にて受付対応できない場合にのみ、ご返信にてご連絡いたします。何とぞご了承ください。
 ファックス番号:093-931-4101

共催: 公益社団法人日本精神神経科診療所協会/北九州市/福岡県精神神経科診療所協会/一般社団法人福岡県精神科病院協会北九州ブロック/北九州精神科診療所協会

posted by かなめクリニック at 13:15| 精神科・心療内科

おかげ様で開院10周年。

皆様、おはようございます。先日の大雪のあとも、まだまだ底冷えする日々が続いていますね。いかがお過ごしでしょうか。

さて、平成28年2月1日をもって、おかげ様でかなめクリニックが開院して10周年をむかえました。多くの方々に、そして世の中に必要とされたことに心より感謝いたします。やりたいと思う仕事を、このようにさせて頂ける幸せは本当に有り難いことと思っております。
当院では、平成23年8月より、うつ病をはじめとした不調(休職・退職や引きこもりなど)からの回復と社会復帰・参加(復職、再就労など)支援を目的として、デイケア・リワーク活動を行っています。このような取り組みにより、まず当人が仲間とともに希望と自信をとりもどし、回復に伴いその家族や周囲の人々が安心と喜びをわかちあい、しいては世の中がよりよくなればと願っております。
全国で、リワーク(Return To Workの造語、復職支援)の取り組みが活発となってきています。北九州でも、リワークを行う施設が徐々に増えてきています。また、職場や産業医、病院、クリニックにてもリワークの役割や効果、必要性に関しての理解が高まってきていると感じます。効果がでてこそのサービスであり、今後もニーズに応じた幅広い対応や、何よりも質の向上に努めて参ります。当院では、リワークの質を上げていくことをめざして、研修や勉強とあわせて、外部よりの専門家に応援をお願いしています。

当院では、引き続きご期待に添えますよう、英気を養い、情熱をもってスタッフ一同で精進して参ります。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
posted by かなめクリニック at 11:18| 精神科・心療内科

2016年01月09日

臨床心理士スタッフ募集中!

初春の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

あけましておめでとうございます。かなめクリニックの院長の要です。当院では、デイケア・リワークを一緒にやっていく臨床心理士スタッフを1名募集します。現在、正看護師3人、精神保健福祉士1人、作業療法士1人、臨床心理士2人の計7人のスタッフにて活躍してもらっています。

特に病気休職からの復職支援(リワーク)に力を入れています。そのため認知行動療法、マインドフルネス、ACT(アクセプタント&コミットメントセラピー)のスキルや経験のある方を優遇します。一方で、これから学んでいきたいという熱意ある方、これからの成長が期待できる方も大歓迎です。研修などにて学びを支援して参ります。ぜひ当院で一緒にやってみたいと思われる方がありましたら、ご応募を心よりお待ちしております。

スタッフ応募に関しましては、ハローワークに求人を出しています。条件等の詳細に関しては、もよりのハローワークへお問い合わせ下さい。履歴書による書類選考の後に面接を実施します。どうぞよろしくお願い致します。
院長 要 斉
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2015年11月13日

【改定】インフルエンザ予防接種料金の変更のお知らせ

インフルエンザ・高齢者用肺炎球菌 予防接種料金変更のお知らせ


平成27年11月13日より、下記の料金に変更になりました。電話のご予約になります。
インフルエンザワクチンは、下記のとおりです。
高齢者用肺炎球菌の予防接種は、電話でお問い合わせください。 
●予防接種受付日
  月・火・木  10時〜18時
  金      10時〜16時30分
  水・土    10時〜15時

※補足:今回、すでに4,000円にてインフルエンザを当院で接種をされた方においては、差額を返金いたします。   
●対象年齢
  6歳以上〜64歳まで
    1回目・・・3,700円
    2回目・・・2,500円(当院にて1回目施行時)

  65歳以上
    1回目・・・1,500円
    ※65歳以上の方で減免に該当される方は無料となっております。
     各区役所の保健福祉課で交付される「減免用予診票」をご持参ください。
       ・生活保護受給者 
       ・世帯員全員が市民税非課税

※今シーズンのインフルエンザは、4種類のインフルエンザウイルスに対応したワクチンの為、昨年より値上がりしています。ご了承ください。
※ご不明な点、ご相談がございましたら、電話または受付でお問合せください。
※事前のご予約が必要となります。 電話:931−4100
       かなめクリニック  院 長
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2014年02月22日

第26回北九州市民精神保健福祉の集い ご案内

 みなさまこんにちは、要です。市民向けの講習会のご案内です。

 今年で第26回となる、北九州地区にて毎年行っている心の健康や予防、治療、回復に関する地域啓発活動イベントです。興味のある方はどなたでもご参加できます。席に限りがありますので、申込者優先とさせていただきますが、当日直接おこし頂くことも可能です(入れない場合もございます)。皆様のお越しをお待ち申し上げております。

 【開催日時】  平成26年3月8日(土) 13時30分〜16時30分
 【会場】    AIM3階 会議室(北九州市小倉北区浅野3−8−1)
 【対象】    一般市民 (入場無料)約200名
 【テーマ】   「治りにくいうつ」
 
 【プログラム】 
  13:30〜
  ●「主催者あいさつ」

  13:40〜14:45
  ●第1部≪特別講演≫
  「治りにくい うつ」
  講師:吉村 玲児先生
  (産業医科大学医学部 精神医学教室診療教授)
  座長 要 斉

  15:00〜16:30
  ●第2部「無料相談コーナー」
  (希望者のうち先着20名)
  当協会の会員等がご相談をお受けします。

 お問い合わせ・申し込み  参加希望の方は、1.代表者氏名、2.申し込み人数、3.ご連絡先を記入にてファックスにて093-931-4101までご連絡ください。

 主  催  公益社団法人 日本精神神経科診療所協会
 共  催  北九州市、福岡県精神神経科診療所協会、北九州精神科診療所協会  
posted by かなめクリニック at 15:34| 精神科・心療内科

2014年02月15日

マインドフルネスFの2(めい想とは)

 みなさん、こんばんは。今日はとてもきれいな十五夜の月が出ています。オリンピックの羽生選手、とても魅力的でかっこよかったですね。東北出身で震災にあい、絶望の淵から徐々に希望をとりもどしたという紹介をみました。その物語を通してみると、彼の強さがとてもわかるような気がして、心を打たれました。

 さて、私の方は思うように筆(タイピング)がすすまず、立ち往生しておりました(^^;)。

 今日は、めい想とは何かを、私の理解の範囲で解説してみます、少し難しいです。めい想では、意識をよく目覚めさせ、思考・気分・身体・行動、そして現実のそれぞれをよく観察し(洞察)、ひろく視点を保ちながら安らいでいこうとしています(意識がよく目覚めていない状態のことを自動操縦状態と表現します)。そのようにして現実とよくふれあい、自己の内面に安定をとりもどし、そして英気を養っていきます
 実際の手法としては、フィーリング(感覚)に意識をむけます。強すぎないフィーリング、自然なもの、すでにそこにあるフィーリングであれば何でもよいのです。一杯のコーヒーをゆっくり味わう、シャワーが肌にあたる感覚、空にある雲の流れ、川の流れ、よせては返す海の波をながめる、そのどれもがめい想になります。このブログでは、レーズンを用いたものと、ボディスキャンについて紹介しました。一番の基本となるものが、自分の自然な呼吸をただ観察するという呼吸めい想です。このように感覚に意識を集中させることを「感受にとどまる」と表現します。強すぎない刺激をただ感じ続けることで、意識を(自動)思考にまきこまれた状態から解放させ、脳を休ませる効果が得られます。脳は身体の2%の重量しかないのに、全体の40%ものエネルギーを消費していると言われており、考え続けることはかなりの消耗につながるようです。
 感受にとどまり続けると、すなわち呼吸の観察を続けていると、ふとスイッチが切り替わるように安らぎ(Peace)が訪れます。それまで身体を苦しめていた緊張や、胃を重くしていたものが少しほぐれたりします。この変化は、自動思考から解放されることによって起こります。この安らぎとともに爆睡してしまうこともよく起こります(^^;)。逆に、この安らぎを期待しても、今度はイライラするばかりで、一向に安らがないということもよく起こります。このような時には「安らぎたいと強く願い、身体が緊張し、気分は焦り、うまく安らげない自分にイライラする」といった自責する悪循環が起こっています。練習を積んでいく途中での一つの落とし穴です。寝ようと意気込みすぎて、かえって眠れなくなるのと同じ原理です。
 そのような落とし穴にも気づき、求めすぎず、ただ呼吸してあるがままに安らげるようになってくると、それまでの偏ったものの見方(自動思考)から放れ、視野の広くなる変化が起こってきます。「木をみて森をみず」という言葉がありますが、広い視野、すなわち全体性をとりもどすことで、広く柔軟な関わりがとれるようになっていきます。そのようにして回復や癒しが訪れてきます。
 いかがでしょうか、私の力では全く伝わらなかったかもしれません(^^;)。これにこりず、ぜひ体験を通して学んでいってもらえればと願っています。

 次回は、マインドフルネスめい想と、従来の認知療法との違いについて書いてみます。おたのしみに。おやすみなさいm(_ _)m
posted by かなめクリニック at 21:45| 精神科・心療内科

2014年02月02日

マインドフルネスFの1(実践のやり方)

 みなさん、こんばんは。要です。このブログではご無沙汰しています。私の関心が別のところへと行っていて、なかなか戻ってこれませんでした(^^)。平成26年2月2日、今日の暖かさには驚きました。日中は半袖でも気持ちがよいような、初夏が迷い込んできたかのようでした。

 さて、マインドフルネス認知療法を8回で紹介しようと開始して、次のようなブログを記載してきました。
@ 自動操縦状態について
A 自動操縦状態に気づき、そこから離れて安らぐ
B レーズンエクササイズというめい想練習の紹介
C ボディスキャンというめい想練習の紹介
D あることモード(存在モード、Being mode)、することモード(作業モード、Doing mode)について
E 「今、この瞬間」に意識を向ける 〜何だか駆り立てられていませんか〜

前回Eを記載したのが平成25年3月3日でした。その後に、大規模研究の途中経過としてマインドフルネスに双極性障害(躁うつ病)の再発再燃抑制効果があるとの報告が出ました。繰り返すうつや、慢性のストレスへの効果とあわせて効能の科学的証明も広がっています。日本での関連する書籍も徐々に増えてきました。「J.カバットジン、 春木豊著、4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド 北大路書房 3990円」が平成25年8月1日に出版され、めい想実践のガイダンスに使えるようになっています。こちらのCDは、やや声がおどろおどろしく、目的をはき違えているのではとも思いますが、とりあえずこのCDと、「J.カバットジン著 春木豊 訳 マインドフルネスストレス低減法 北大路書房 2200円」とをあわせることで、用意は十分ですので、興味のある方は是非挑戦してみてください。

 マインドフルネスめい想スキルを身につけるのに8週間の実践練習が推奨されています。最初、この取り組みでストレスはむしろ増えます。たとえば、新しく携帯やソフトを買い換えたときのことを思い出してみてください。新しくなり、つかってみたものの、以前とは扱い方が違いすぎて、とてもストレスに感じたことはないでしょうか。使いこなすまでにたっぷり時間をとられ、説明書を読まされるはめになり、読んだ通りにやっているつもりなのにうまく動かなかったりで、イライラはマックスです。「こんなことなら買うんじゃなかった、前のままでよかった」「自分には無理だ」「自分にはあわない」「いつもこうだ」「うったえてやる・・・」など(少しオーバーですが(^^;))。しかしあきらめずに何とか使おうとしていくなら、やがて扱えるようになり、ようやく前よりも便利さがもたらされます。そんな感じで、めい想スキルの習得はすすみます。当初は、「やらなければいけないと思っての」めい想から、やがて「やりたいと思っての」めい想に変化していきます。安らぎ(Peace)がほとんどの場合にもたらされるようになります。しかし、多くの落とし穴も待ち伏せしています。単に呼吸することをたのしんで、安らいで存在する、ということだけがいかに難しいかに遭遇します。解説書をただ読んでいるだけでは、いつまでたってもわかりません。やってみることが重要です。しかし、やりながらつまったり、うまくいかなくなったらまた解説書を読んだり、わかっている信頼できる人に相談したりして、そこを乗り越えます。うまくなってきたから、やり方がわかったからこその落とし穴があるのです^^。〜つづく〜

今回をFの1として、今週中にFの3まで筆(タイピング)をすすめたいと思います。そして来週中にGを書いて完結させます!・・・と決意表明することで、自分に言い聞かせてみました。読んでいる人は、おたのしみに(^^)/
posted by かなめクリニック at 20:27| 精神科・心療内科

2013年07月11日

当院リワークの効果の現状

暑中お見舞い申し上げます。要です。
暑さを感じると、ふと子供の頃の記憶がよみがえったりします。夏ですね晴れ

 さて、平成23年8月1日より当院リワークをスタートしました。これまでに100名以上の方が利用されています。平成25年4月30日までの1年9ヶ月間の結果について解析しましたので報告いたします。

 この間にて当院リワークを修了して47名の方が復職されました。その平均利用期間は6ヶ月でした。リワークを利用開始した日から、終了までの期間の平均になります。実際に利用された日数の平均は60日で、およそ実質3ヶ月でした。当院リワーク利用者の9割は、うつ病などの気分障害による休職の方です。男性が8割と多く、年齢は20代から50代までと幅広く、平均年齢は39歳でした。また、利用者の半数以上は他院様よりの紹介の方でした。
 復職1年後の就労継続率は75 %でした(Kaplan-Meier法による)。これは、リワークの中心的な取り組み施設であるメディカル虎ノ門2012年の報告(1)78 %とほぼ同等と考え、当院でのリワークプログラムが有効に機能している傍証になると思います。今後も、さらなる工夫改善をしていき、よりよいサポートができるように努めていきたいと思います。
 (1)大木洋子. デイケア実践研究16, 2012 : 34-41.

 この他、リワーク利用の流れについてまとめましたので、ぜひご参照ください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
posted by かなめクリニック at 13:51| 精神科・心療内科

2013年03月05日

臨床心理士スタッフ募集中!

早春の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、かなめクリニックでは、デイケア・リワークを一緒にやっていく臨床心理士スタッフを1名追加募集しています。現在、正看護師3人、精神保健福祉士1人、作業療法士1人、臨床心理士1人の計6人のスタッフにて、活躍してもらっています。復職へ向けてのリワーク活動を中心に取組を行っております。興味、関心のある方、志を高く持てる方に来てもらえればと願っております。

以前にも書きましたが、新規スタッフへ求めるものは、経験や知識、技術では必ずしもありません。それらは、これから十分に時間をかけて一緒に学んでいくことができます。より大切なのは、関わっていく方々に対して、情熱、誠意、誠実さ、真心、やさしさをもって接し、信頼関係を大切に築いていこうとする姿勢、と考えています。デイケア・リワークを通して、「人と人との関わりや、信頼関係が、治療・回復には最も大切である」ことを実践していければと思っています。

スタッフ応募に関しましては、ハローワークに求人を出しています。条件等の詳細に関しては、もよりのハローワークへお問い合わせ下さい。履歴書による書類選考の後に面接を実施します。ご応募を心よりお待ちしております。  院長 要 斉
posted by かなめクリニック at 13:19| 精神科・心療内科

2013年03月03日

マインドフルネスE(今、この瞬間)

 みなさま、ご無沙汰しております。私はチンチョウゲの香りがとても大好きなのですが、この花の香りがする頃には花粉症もやってくるため、いつも複雑な気持ちです(^^;)。とはいえ、以前ほど「いやだな〜」という思いはやわらいで来たようにも思います^^。
マインドフルネスに関してのブログ予定は8回です。あと3回、熱意をもって書き上げてみます。

 マインドフルネス(ハートフルネスとも表現されるます)とは、「今、この瞬間におこっている、あなたやあなたのまわりのこと」に対して、どんなことであれ、興味・関心、やさしさ(慈愛)をもって意図的に意識を向ける状態のことをさします。この状態を、あることモード(Being mode)と表現し、受容という言葉もほぼ同じ意味を指しています。めい想の練習を通して、普段のすることモード(Doing mode)から、あることモード(Being mode)に入るように練習をしていきます。自転車の乗り方を覚えるように、やりながら体得して、はじめて納得できるといったものですので、本を読んで頭で理解するだけでは余計に難しく感じてしまうかもしれません。

 新しく平成24年11月に「うつのためのマインドフルネス実践〜慢性的な不幸感からの解放〜」カバットジン他著 星和書店が出版されました。日本語訳がこなれていないことと、訳の間違いではと思われる箇所が散見されるのが残念ですが、めい想のもたらす効果や、うつへの応用をとても理論的に解説しており、内容は大変すばらしいものと思います。また、日本語版としてのボディースキャンやめい想のCDつきですので実践するのに便利かとも思います。ちなみに、この本では、あることモード(Being mode)を「存在モード」と訳し、することモード(Doing mode)を「作業モード」と訳し変えています。

 レーズンエクササイズにみる、「今、この瞬間に」注意を向けることによりもたらされるものは、たった一粒のレーズンからとても芳醇な味わいなどを感じ取れるといった充実感でした。我々が、「今、この瞬間」を楽しめないことの多くの要因は、記憶が邪魔をしていたり、未来の心配などにより心がさ迷ったりしていることがとても関係します。とくにそうしようと思っているわけではないのに、気がつけば何となくそのようにして、連続する「今、この瞬間」を過ごし続けています。マインドフルネスやめい想では、そのことに気づくことを目指しています。しかし、それが悪いこと、と指摘しようとしているのではありません。先人のいろんな文章が、「今、この瞬間」に目を向けることの意義を教えてくれています。
(この、『それが悪いこと、と指摘しようとしているのではありません』というところに、?と感じる人も多いと思います。私が『それが悪いこと、と指摘しようとしているのではありません』という言葉の意味を理解できだしたのも、ついこの頃のことです。次回に説明を試みてみます。)


なんだか駆り立てられていませんか?

 「あなたのさまざまな思考は、たんなる思考に過ぎず、それらは“あなた”や“現実”ではないと理解できると、いかに自由な感じがするか、それは注目に値することである。・・・・思考をたんなる思考として認識するという単純な行為は、しばしば思考が作り出すゆがんだ現実からあなたを自由にし、生に対するもっと澄んだ洞察とより大きな統制感を手に入れることを可能にする」カバットジン


 「思考にまきこまれてしまうと、自分と思考との区別が難しくなります。思考によってさらわれた心は、元いた場所から、あっというまに遠くへ運ばれてしまいます。思考という列車に飛び乗ってしまったことさえ気付かずに、どこへ運ばれるかも分からないままに、次々に連なる連想という列車に乗って運ばれてしまいます。線路のどこかで目覚めて、考えていることや列車に乗っているということに気付くかもしれません。列車から降りるときには、飛び乗ったときとは全く異なる精神状態にあるかもしれません」ゴールドステイン

 やすらぎ(peace)は現在の瞬間にのみ存在可能である。「これを終えるまで待てば、そのときは安らぎの中に生きる自由が得られる」などと言うのはばかげている。「これ」とは何なのだ? 卒業証書か、仕事か、住宅か、借金の返済か? そのように考えれば、やすらぎは決して訪れない。現在のものに続く、別の「これ」がいつも存在する。この瞬間にやすらいで生きていないのなら、決してやすらぎの中に生きることはできない。本当にやすらかでありたいのなら、今現在やすらかでなければいけない。さもなければ「いつの日かやすらぐという希望」があるだけだ。ティク・ナット・ハン 

 人生の進み具合というものは、なんと奇妙なものだろう!小さな子供は「もっと大きくなったら」と口にする。だが、どうしたことだ。大きくなった子供は、「おとなになったら」と言うではないか。そして、おとなになると、「結婚したら」と言う。けれでも、結婚したらいったいどうなるか?考えがコロリと変わって、「退職したら」とくる。やがて退職が現実のものとなると、自分の過ぎし日の光景を思い浮かべる。そこには木枯らしが吹きすさんでいるようだ。どういうわけか、すべてを取り逃してしまった。もはや過ぎ去ってしまったのだ。そして遅ればせながら、われわれは学ぶ。人生とは、生きることの中、つまり毎日毎時間の連続にあるのだということを。スティーブン・リーコック
posted by かなめクリニック at 08:00| 精神科・心療内科

2012年09月26日

マインドフルネスD(あることモード、することモード)

マインドフルネスの紹介をあとまわしにしたまま、ただ忙しさに追われて日々を過ごしておりました。当院がデイケアリワークをはじめて1年がたちました。スタッフともども、利用されている方々とともに、困難や苦労から学ばせてもらっていることを実感しています。利用されている方々の健康と回復を通して、そのご家族の幸せ、そして社会にとっての安心や活力へとつながっていけることを心より願っています。

「われわれは本来、何も握り締めていない、誰とも戦っていない、どこにも向かっていない・・・・ということを思い出してみるのです」 熊野宏昭

前回、マインドフルネス瞑想を通して、自動操縦状態に気づき、そこからはなれ、「今この瞬間を、ただ観察するにとどまる状態」のことを、あることモード(Being mode)と紹介しました。シーガルやティーズデールらにより紹介され、することモード(Doing mode)と対をなす状態をさします。することモードとは、自動操縦状態のままに活動する状態のことです。ふだん、ほとんどの場合、我々は「することモード」で生活しています。しっかりと意識することなく、歯を磨き、何となくご飯を食べ、食べながら同時に新聞を読んだりテレビをみたりして、時間になると着替えて、いつものように家を出て会社に向かっています。「することモード」には、習慣化して、よく考えないままに自動的に行動がとれ、複数の作業をこなせるという利点があります。一方で、よく観ずに行動しており、十分に今の目の前のことを観察しないため、どれも同じようなパターンにうつり、刺激に乏しく、退屈であったり、はなから決めつけた見方しかできずに、柔軟な対応をとるのが難しくなると言われています。このモードでは、理想とする状態と、現状とを比較し、現状を何とか理想の方向へ変えていきたいとする思いが強く働きすぎるため、別名にては「駆り立てられるモード」ともよばれます。気がつけば、いつも焦って結果を残そうと必死になっていたり、人と比べていたりします、それがそんなに焦らなくてもよいことや、重大でないことまで。また、気持ちや感情の問題を、することモードで対処すると(つまり片手間に、何となくぼんやりと考えると)、かえって苦しみや悩みを強めてしまうことがよくおこります。心配や過去の辛かった記憶を引きずりながら過ごし、今この瞬間に経験している全ての体験を、楽しいことであっても、普通のことであっても、マイナスな気持ちを引きずりながら経験してしまうことで、全てがつらい体験に変わってしまったりしてしまいます。本当ならこうであればと願う心は、かえって現状をよりつらいものに感じさせたり、辛い気分を長引かせたりしてしまいます。例えば、私は背が低くて太っていますが、私が「身長があと10cm高ければ!体重があと10kg少なければ!」と深刻に思うとするなら、どんな気持ちになるでしょうか。少なくとも、今の現実の自分は、「理想とかけはなれたみじめな存在」と映ってしまうことでしょう(>_<)。また、人が生きていくなかで経験する悲しみや不安は避けられないものでもありますが、それを急いで解決しようとしすぎたり、ないものとして封印してしまおうと努力することで、自然に流れ過ぎていくはずの悲しみや不安が、かえって長引いたり、強まったりしてしまいます。

今回の文章はわかりにくいと思いますが、ボディースキャンやレーズンエクササイズ、静座瞑想、などをし続けながらであれば、わかってきます。あることモードになるための瞑想では、味覚、嗅覚、聴覚、視覚、触覚の5感と、自動思考を観察していきます。自動思考(自動操縦状態)に巻き込まれて、考えこみ流されてしまわないように気をつけながら。そして、あることモードにては、欲、怒り、迷いから離れ、今、この瞬間に生きている、何事にもしばられない自由な自分を取り戻すことができます。つづく〜
posted by かなめクリニック at 23:03| 精神科・心療内科

10月20日土曜日リワークOB会

気持ちのよい青空がひろがり、各地で運動会が開かれ、行楽の秋になってきました。皆様、いかがお過ごしでしょうか、要です。

さて、当院のリワークデイケアを卒業している方を対象に、下記の予定にてOB会を開催します。復職後の困難な状況に対して、いかに対処するか、いかにリワークにて学んだことを応用するか、などを持ち寄り話しあい共有していければと思います。また、現在、当院のリワークデイケア利用者で、希望される方も参加し、意見交換をしていければと思います。ご希望の方は、ご連絡の上、どうぞご利用ください。今後は2ヶ月に1回程度で開催を予定していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【対象】 当院のリワークデイケアを卒業している方
【日時】 10月20日土曜日 10時〜13時  
【料金】 3割負担の場合 1260円  1割負担の場合 420円
【内容】
(1) 卓球等軽スポーツ
(2) ミーティング:テーマを決定して(困っていること、聞きたいことなど)
(3) フリートーク など

※ 参加人数が多くなるときには、2グループに分かれて行います。
posted by かなめクリニック at 16:55| 精神科・心療内科

2012年07月27日

デイケア・リワークスタッフ募集中!

暑中お見舞い申し上げます。暑い日が続いていますね。皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、かなめクリニックでは、デイケア・リワークを一緒にやっていくスタッフを1名追加募集しています。現在、正看護師3人、精神保健福祉士1人、臨床心理士1人の計5人のスタッフにて、活躍してもらっています。復職へ向けてのリワーク活動としての参加が大変増えており、より充実した対応がとれるようにと募集させてもらいました。

以前にも書きましたが、新規スタッフへ求めるものは、経験や知識、技術では必ずしもありません。それらは、これから十分に時間をかけて一緒に学んでいくことができます。より大切なのは、関わっていく方々に対して、情熱、誠意、誠実さ、真心、やさしさをもって接し、信頼関係を大切に築いていこうとする姿勢、と考えています。デイケア・リワークを通して、「人と人との関わりや、信頼関係が、治療・回復には最も大切である」ことを実践していければと思っています。

現在、募集してるスタッフは
・作業療法士
・正看護師
・臨床心理士 
・精神保健福祉士 
の資格者より常勤2名の予定です。

疾病に関しての勉強、認知療法、マインドフルネス認知療法などは、私が直接指導し、勉強会、カンファレンス、ビデオ学習、陪席を通して教えていきます。マインドフルネス認知療法は、月曜日に私がやっていますので、一緒に取り組んでいきましょう。勉強意欲、熱意のある方を求めています。

スタッフ応募に関しましては、ハローワークに求人を出しています。条件等の詳細に関しては、もよりのハローワークへお問い合わせ下さい。履歴書による書類選考の後に面接を実施します。ご応募を心よりお待ちしております。  院長 要 斉

9月3日、たくさんのご応募ありがとうございました。縁がありまして正看護師さん、作業療法士さんを採用をさせて頂きました。臨床心理士さんに関しましては、引き続き募集を行っております。いそぎではありません。ご応募を心よりお待ちしております。
posted by かなめクリニック at 15:46| 精神科・心療内科

2012年03月21日

マインドフルネスC(ボディースキャン)

おはようございます。震災から1年がたちました。改めまして、思い半ばで突然に亡くなられた多くの方々へ哀悼の意を表するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。同時に、とても大切なものを失われた被災地の方々、そしてテレビなどの情報を通して、そのやさしい気持ちや豊かな感受性から、自分事のようなつらさに至ってしまった多くの方々へ、回復を願いまして、心よりの応援とお見舞いを申し上げます。

マインドフルネスは、繰り返すうつ病の再発予防に大変有効であることが知られています。つらい体験といかに関わるか、新たな関わり方を身につけることを目標にしています。「すでに人生はじまっているのです。生きる準備をしなさい」(S.C.ヘイズ)。そのキーワードは、「気づき」:やさしさ、力まず、あたたかさ、受容、それでいての冒険心、好奇心、探求心、初心です

ボディースキャン  
 まず、正式なマインドフルネスの練習として、1.ボディースキャン、2.ヨガ瞑想、3.静座瞑想 の3つがあります。いずれかの、毎日の練習が推奨されており、所要時間は45分ほどになります。そのうちの、ボディースキャンが最も基本となるもので、それについて解説します。

まず、あおむけになります。床でもベッドでもかまいませんが、完全に目覚めている状態で行えるようになることを目指します。部屋は、適度な暖かさで。部屋が寒いようなときは、毛布をかけておこないます。
自分の呼吸活動を、やさしく観察することからスタートします。その後に、左足のつま先へ注意をもっていきます。左足先よりスタートして、左足のつけね(左股あたり)まで、スキャナーでスキャンしていくように、「今、この瞬間に」感じている感覚をひろいあげていきます。部位により暖かく感じたり、冷たく感じとれるかもしれません。靴下があたっている感覚や、かかとが床に触れているところの感覚などがよくひろえるでしょうし、何も感じないところもあるでしょう。レーズンエクササイズで試みたように、注意を集中して、そこになるべく多くの意識をむけることで、普段なら全く見逃してしまいそうな感覚をひろいあげる(気づく)ことが目的になります。ただ観察することを目指し、好奇心を働かせますが、一方で力まず、やさしい気持ちでやっていきます。熱心に、それでいて力まずといったような矛盾したテーマがマインドフルネスには要求されます。実はこのような関わり方こそ、習得を目指している新しい関わり方、になります。また、自動操縦状態が頻繁に出てきては、あらぬ方向へと心が運ばれてしまい、何をしているかさえ忘れてしまうことを繰り返しますし、気がついたら寝てしまっていることもよくおこります(^^)。自動操縦状態に運ばれたとしても、イライラせずに、やさしくもとの観察しようとしている部位へ注意をもどします。100回でも200回でも、何度でもそれを繰り返すことが、この練習と言ってよいかもしれません(>_<)。
左足をスキャンしたあとは、同じようにして、右足のつま先から右足のつけねまでをスキャンします。その次には、胴体を下半身から首下までスキャンします。その次に、両手同時に、指先から肩あたりまでスキャンしていきます。そして、最後に、首、顔、後頭部、頭のてっぺんとスキャンをすすめていきます。
痛みやこりを感じたところへ、呼吸の流れにのって空気を送り込み、吐くと同時に、老廃物のように痛みやこりの原因が流れ出るようなイメージを通して、リラクゼーションをおこす技法を併用しますが、この感覚を身につけるのには練習が必要になります。ただ観る技法(受容)と併せて、ヨガやストレッチの経験が必要になると考えています。
これらを音声ガイダンスにそって行っていきます。英語版のJ.カバットジン氏によるものはネットにて手に入りますが、残念なことに日本語版はまだありません。当院では、自前で作成したガイダンスCDを用いて練習しています。

ボディースキャンは、朝のうちにすることが推奨されています。運動したり、熱めのシャワーをあびたり、コーヒーをのんだりして目を覚ました後にやるようにして、二度寝にならないように工夫します。また、継続して取り組んでいこうとした際にも、いろんな問題が続出してきます。うまくやろうとして、できずにイライラしたり、良い結果を期待して、得られずにがっかりしたり、ついついすっぽかしてしまい、後ろめたい気持ちになったりします。それら全てに意味があり、全体の中でそのような体験を正直に話しながら、気づきと、新しい関わり方とを少しずつ身につけていきます。

「忙しい毎日の中で、そんな時間などとれない!」という声もよく聞かれます。ボディースキャン、マインドフルネスを身につけていくなかで、自動操縦状態にまきこまれてしまい、目の前のことがみているようでみえなくなってしまっている状態に気づき、今この瞬間に意識を集中することにより、少しでも充実した時間がもどってきます。それは、レーズンに集中することで、ただ食べるのとは違った味わい、充実がもたらされたのと同じような変化です。いつもの、保育園から子供を連れ帰る忙しい時間の中で、梅のつぼみがほころびはじめたことに気づき感動したり、子供の成長に気づいて嬉しくなったりといったような体験が増えていきます。

このような、自動操縦状態からはなれ、「今、この瞬間」への気づきをむけるあり方を「あることモード」と言います。反対に、自動操縦状態にまきこまれ、あれこれと頭の中で忙しく考えているような状態を「することモード」とよんでいます。次回は、これらのことについて書く予定です。

現在、マインドフルネスは3周目になります。全8回としていましたが、今後は全10回にして行っていくこととしています。3月26日が10回目になり、4月2日が1回目となります。では。
posted by かなめクリニック at 03:12| 精神科・心療内科

2012年01月02日

マインドフルネスB(レーズンエクササイズ)

あけまして、おめでとうございます(^o^)。北九州では、どんよりした天気ではじまりました新年ですが、いかがお過ごしでしょうか。それぞれに、よい年となりますように願っております。

「自動操縦状態に気づき、そこからはなれる技法の習得が大変重要」と前回紹介をしました。そのための練習には、いくつかの方法があります。

最初の導入で、よく行われるものに、レーズンエクササイズがあります。普通に売られているレーズン一粒をつかって行います。
1. まず、一粒のレーズンを手のひらの上に置き、とにかく眺めます。まるではじめてそれ(レーズン)をみるかのような心持ちで、じっくりと意識を集中しながら眺めます。しわしわがおりなす微妙な陰影や光沢を、隅々までただ観察します。「なぜ、こんなことをする必要があるのだろうか」とか、「どうみてもただのレーズンじゃないか」などの思考や疑問が浮かんでくるかもしれません。そのような自動操縦状態に気づくことも練習ですが、それは自動操縦状態というより、本心でそう思う、と感じるかもしれません。
2. 次に、レーズンを手のひらで転がして観察します。裏側はどうなっているか、など。
3. その後に、手にとって触れた感じを、とにかく、ただ、観察します。手に触れるやわらかさや、べたつき感、ふにゅふにゅ感などを、ただ集中して観察します。
4. さらに、においをかいでみます。結構、いろんなにおいがあります。カレーのようなにおいがしたり、「やっぱりレーズンじゃん」と感じるのも正直な感想です。ただ、においをかぎ、そこから入る感覚刺激だけに集中して、観察することが目的ですが、いろんなことを考えてしまう自分にも気づきましょう。それが自動操縦状態です。そしてまた、そこからはなれて、観察することだけに意識をもどしましょう。
5. それぞれの手順は、ゆっくりと進めていきます。次に、ようやく口の中にレーズンを入れます。しかし、すぐにはかまず、舌の上において、転がしながら舌触りをたしかめ、観察します。つばがでてきて、はやく食べたい、飲み込みたいとする身体の変化や、自分の思いにも気づけるようにします。
6. ゆっくりとひとかみします。歯触り(食感)を観察します。味がしみ出してくることに関しても、集中して意識を向けます。そして、ふたかみ、みかみ、とゆっくりと咀嚼します。
7. しみ出てくる味を、あますところなくひろえるように味わい、ただ観察します。
8. ゆっくりと、少しずつ飲み込み、のどを通って、胃に落ちるまでの感覚にも意識を集中します。そして余韻を味わいます。
上記が、レーズンエクササイズと言われるものです。これのどこが練習なのか?と不思議に思う方も多いと思います。私もそうでした(^^;)。グループワークでは、上記を行った後に、それぞれの体験したこと(感じたこと、考えたこと)を、みんなで話し合って終了となります。マインドフルネスの練習は、どれもびっくりするほど単純なものばかりです。それをコツコツと実践していかなければ、わからないとも言えます。自分の中でおこっている現象に対して、「気づけること(awareness)」を育んでいきます

この練習を通して思い知らされることは、いかに私たちが、意識を集中することなく、食事をしているか、ということです。テレビをみながら、話をしながら、考え事にふけりながら食べるとき、それらは、たとえどんなごちそうであったとしても、十分に気づかれずに、ただ口の中へと流れ込んでいきます。ゆっくりと五感をつかって、十分に味わって食べたときに、こんなにも豊かなものがそこにあったのかと感動できる瞬間になるかもしれません。しかし、このようなことを長々と書いてくると、なにやらお説教をしているかのようにも思えてきまして、分相応でなく気恥ずかしい思いですので、この辺でやめときます。

次回は、基本的な練習である、ボディースキャンについて紹介いたします。では!

平成23年1月16日(月)より、3クール目のマインドフルネス認知療法第1回目を行います。
posted by かなめクリニック at 13:17| 精神科・心療内科

2011年12月26日

デイケア・リワークスタッフ募集中!

寒い日がつづいています。皆様、いかがお過ごしでしょうか、院長の要です。
さて、かなめクリニックでは、デイケア・リワークを一緒にやっていくスタッフを1名募集しています。スタッフへ求めるものは、経験や知識、技術では必ずしもありません。それらは、これから十分に時間をかけて一緒に学んでいくことができます。より大切なのは、関わっていく方々に対して、情熱、誠意、誠実さ、真心、やさしさをもって接し、信頼関係を大切に築いていこうとする姿勢、と考えています。デイケア・リワークを通して、「人と人との関わりや、信頼関係が、治療・回復には最も大切である」と、あらためて教わりました。

現在、募集してるスタッフは
 ・正看護師
 ・作業療法士
 上記、どちらか常勤1名
 ・臨床心理士 
 常勤1名(非常勤も可)

です。疾病に関しての勉強、認知療法、マインドフルネス認知療法、対人関係療法などは、私が直接指導し、勉強会、カンファレンス、ビデオ学習、陪席を通して教えていきます。マインドフルネス認知療法は、月曜日に私がやっていますので、一緒に取り組んでいきましょう!

勉強意欲、熱意のある方を求めています。また、当院での勉強や研修を希望される方も、遠慮なくお問い合わせ下さい(医師も含みます)。

スタッフ応募に関しましては、ハローワークに求人を出しています。条件等の詳細に関しては、もよりのハローワークへお問い合わせ下さい。履歴書による書類選考の後に面接を実施します。ご応募を心よりお待ちしております。
posted by かなめクリニック at 12:35| 精神科・心療内科

2011年11月14日

マインドフルネスA(自動操縦状態と認知療法)

おはようございます。要です。今朝は冷え込みました。あたたかさ、が身にしみる季節、布団からはなれるのにも思い切りが必要になりました(^^;)

前回は、自動操縦状態に気づけるようになることが、うつ病の再発予防に重要であることを紹介しました。そして、自動操縦状態の中には、認知療法で言われるところの、「気分」「自動思考(状況を含む」」が含まれていることを。

認知療法が世間でも話題となって紹介されていますが、やってみるといくつかの問題点にぶつかります。その中で、特に次の2点が重要に思います。

1. その人の自動思考や考え方、というものは、言われたからといって容易に変わるものではなく、自ら気づき、納得してはじめて変わりうるものであり、「いかに気づくか、気づかせられるか」という点が重要になります。魔法のような方法と期待して、認知療法を求めて来られる方に対して、その思いと異なる「自らこつこつと習得していく認知療法のやり方」を話しても、なかなか了解されません。思いこみを変えるのは、難しいのです!
2. うつや不安気分に、まきこまれている人では、気分や思いにとらわれ(自動操縦状態にあるといってもいいかもしれません)、混乱しており、認知療法をしようとすると、かえってさらにひどく混乱してしまい、悪化してしまう方もよくあります。

このような点から、認知療法をよりうまく利用するためにも、自動操縦状態に気づき、そこからはなれるという技法の習得が大変重要に思います。マインドフルネス瞑想法を、こつこつと実践していくことで、この技法は誰にでも習得できます。次回は、マインドフルネス瞑想法の実際について御紹介します。

 当院デイケアでのマインドフルネス認知療法は、現在2クール目になっています。1クール計8回を行い、次回は、11月21日月曜日に(4回目/全8回)を行う予定です。
posted by かなめクリニック at 12:52| 精神科・心療内科

2011年10月31日

マインドフルネス@ (自動操縦状態について)

皆様、こんにちは。要です。日の暮れるのが早くなったと感じる季節ですが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、これからマインドフルネス認知療法に関して、計8回を予定して記載していきたいと思います。前回、触れましたように、マインドフルネスとは坐禅瞑想をもとにしたセルフヘルプの技法で、取り組んでいるその人のストレス対処能力を改善させることや、うつ病の、再発予防に効果、があることなどが科学的にも証明されています。認知行動療法と組み合わせて取り入れられていますが、森田療法とはかなり共通してもいます。
参考図書として、J.カバットジン著 春木豊 訳 マインドフルネスストレス低減法 北大路書房 2200円をおすすめします。宗教的要素を取り除き、誰にでも受け入れられる形になっていますが、精神性(Spiritual)な部分が中心にあります。WHO(世界保健機構)にても、新しい健康の定義として、これまでのBio-Psycho-Social Health(身体、精神、社会的な健康)のほかにSpiritual Healthを加えることを検討していると伝えられ、現代人が置き忘れている大切な要素かもしれません。ネットでマインドフルネスと調べますと、あやしいページもいくつか散見されますので、間違われないようにとも願います。

自動操縦状態について:
 皆様は、何か気がかりなことがあって、そのことを考え続けながら、食事をとり、味がわからないままに何となく食べていたことはありませんでしょうか。あるいはまた、帰り道や電車の中で、考え事をしながら過ごし、よく覚えないままに家にたどりついていたことなどの経験はありませんでしょうか。私にはよくあります(^^;)。そのときに考えていたことは、仕事の心配だったり、人間関係での悩みだったり、好きな人のことだったりします。それらの考えは、最初は、たまたまみかけたもの(上司に似た人、「失敗」という言葉、音楽)などから連鎖するように思い出されたりします。混沌とした思いの中で次第に形作られ、自分というしっかりとした意識のコントロールをはずれて勝手にすすみ、はじめには思いもよらない結論に進んでいったりします。それは同時に、気分もすっかり変わってしまい、不安や怒り、葛藤などで重たい気持ちになっていたりもします。このような状態のことを、自動操縦状態、と呼びます。この状態に気づけないままで、ただぼんやりとして過ごすといったこともよくあります。何か考えていたようだが、思い出せない。もしくは、自動操縦状態のままでいるときに、実際にやっていたこと(食事、帰り道)をよく思い出せないなどとなったりします。
 これはもちろん病気の状態ではなく、普段、普通に我々に起こっている体験です。そして、この中には、自動思考といったものが多く含まれます。ここでは、詳しい解説を省きますが、「認知の歪み」と言われる、かたよった考え方により、うつや不安の気分がもたらされ、それに伴う行動とあわせて、悪循環が形成され、うつ病がおこることがしられています。
うつ病から回復した人では、「自動思考に含まれる認知の歪み」も、一緒に回復していることが多いのですが、ストレスが加わった状況下や気分が落ち込んだときには、一度は気づき乗り越えたはずの、そのような認知の歪みパターンに、再度戻ってしまいやすいことがしられています。そのため、一度でもうつ病を経験すると、それまでとは違い、ストレス時に再発の悪いパターンにはまりやすくなり、繰り返してしまいやすくなります。この特徴としては、1.気分の低下に伴い、ネガティブな材料(思考、記憶、態度)へ目をむけやすくなっていることと、2.そのネガティブな材料のことをいつまでも繰り返し考えこむことの2点が言われています。
このような観点より、自動操縦状態に気づき、そこからはなれるといった練習(=マインドフルネス瞑想)は、うつ病の再発予防に直結すると紹介されています。(ZVシーガル著 マインドフルネス認知療法 北大路書房) 〜つづく〜

当院でのマインドフルネス認知療法は、月曜日12時半〜15時半 デイケアにて行っています。お問い合わせは、i@kanameclinic.com まで。
posted by かなめクリニック at 16:28| 精神科・心療内科

2011年09月24日

リワークプログラムについてのご紹介

気持ちのよい青空が広がる季節になりました。ちょっとそこまで出かけたくなる気分です。いかがお過ごしでしょうか。


  現在、当院で行っているリワークプログラムの内容について、これから少しずつ紹介をしていきたいと思います。

 中心にしている治療技法としては、1.社会リズム療法、2.(集団)認知行動療法、3.マインドフルネス、を行っています。社会リズム療法に関しては、水島広子先生が「対人関係療法でなおす 双極性障害」の本にて詳しく紹介しています。認知療法に関しては、大野裕先生や野村総一郎先生ほかにより、今では広く知られてきています。マインドフルネスも、同じく認知療法の流れにそったものとして紹介されています。

 うつ病で休職している方が、ある程度おちついた段階(不安感やイライラ感がやわらいでいる、破壊衝動が消失している、睡眠時間が<昼夜逆転をしていたとしても>確保できているなどを目安に)から、病気が治った後の、復職準備トレーニングとして利用してもらっています。

まず、現状の評価として、いくつかの評価テストを行い、どのプログラム、どの程度の参加を目指すかなどの今後のプラン、スケジュールを専門スタッフと話し合い決定していきます。実際に、活動に参加し、疲れ具合、改善具合をおよそ一月ごとに評価し、次の目標を話し合っていきます。その中で、社会リズム(睡眠、食事、活動、社交などのリズムです)を保つことの意義を理解し、それを記録し、薬物療法と平行しながら整えていきます。また、認知行動療法を、6人1チームとして週1回にて行っていきます。認知のゆがみをはじめ、自分の病気を理解し、自身が自分の治療者の1人になれることを目標にしています(基本編10回、応用編10回の計20回を行っています。定員制のため、すぐに参加できないこともございます)。また、従来から当院で行ってきた、SADグループへ参加することで、スピーチと多岐にわたるプログラム(SST,ロールプレイなどを含みます)、茶話会を経験し、「はじをかきすてて、社交にとびこむ」勇気と体験をはぐくみます。はじをかきすてることができる勇気は、その後の生活をずいぶんと積極的にかえ、視野や世界をひろげることにつながっていくように思います。

  うつ病は、朝の病気、と呼ばれるように、朝の調子が悪い場合が多く、なるべく午前中に運動プログラムを多くとりいれています。ランニングマシーン、エアロバイク、風船バレー、ミニサッカー、ストレッチ、卓球、などを行っています。案外、大人が集まって運動する機会は減ってきており(もちろん、ジム、ゴルフや運動クラブに属し、運動を楽しめている人も多いと思いますが、うつを契機にはなれてしまったりで・・・)、改めて運動することの楽しさや、アナログなゲームのおもしろさを思い出せます。細かなことを考えずに、参加し、同じ病気をかかえ、つらい経験をした人が集まって活動したり、話し合ったりするだけで、孤独感から解放され、何となく勇気や元気がわいてくるという感じを経験します。まだ不調(おっくうさ、たのしめない、リズムの崩れ)を残しての参加の場合には、とりあえず運動プログラムやSADグループのみに参加することもよいと思います。

 「マインドフルネス」という治療法は、認知療法として紹介されたり、瞑想法として紹介されたりしています。坐禅をもとにした瞑想法が、アメリカに渡り、末期ガン患者の痛みの軽減などに有効であることがたしかめられ、さらにはうつ病の再発を防ぐ手だてとして、非常に効果があると報告され注目を集めている技法です。第3世代の認知療法として紹介されてもいます。J.カバットジン氏の本や、Z.V. シーガル、J.D. ティーズデール氏らの本により紹介され、リワークプログラムの柱として、いくつかのデイケアにてすでに取り入れられています。より宗教的な要素を取り除き、瞑想を治療技法として確立したものがそれにあたりますが、「「自分」を浄化する坐禅入門」小池 龍之介著などにて、日本的な坐禅のわかりやすい解説があります。当院にては認知療法とあわせて行うこの方法をとりいれています。次回より、マインドフルネス認知療法に関して紹介をしていきます。つづく。


当院での、デイケア、リワークに関するお問い合わせは、i@kanameclinic.com まで。
posted by かなめクリニック at 16:43| 精神科・心療内科