2012年03月21日

マインドフルネスC(ボディースキャン)

おはようございます。震災から1年がたちました。改めまして、思い半ばで突然に亡くなられた多くの方々へ哀悼の意を表するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。同時に、とても大切なものを失われた被災地の方々、そしてテレビなどの情報を通して、そのやさしい気持ちや豊かな感受性から、自分事のようなつらさに至ってしまった多くの方々へ、回復を願いまして、心よりの応援とお見舞いを申し上げます。

マインドフルネスは、繰り返すうつ病の再発予防に大変有効であることが知られています。つらい体験といかに関わるか、新たな関わり方を身につけることを目標にしています。「すでに人生はじまっているのです。生きる準備をしなさい」(S.C.ヘイズ)。そのキーワードは、「気づき」:やさしさ、力まず、あたたかさ、受容、それでいての冒険心、好奇心、探求心、初心です

ボディースキャン  
 まず、正式なマインドフルネスの練習として、1.ボディースキャン、2.ヨガ瞑想、3.静座瞑想 の3つがあります。いずれかの、毎日の練習が推奨されており、所要時間は45分ほどになります。そのうちの、ボディースキャンが最も基本となるもので、それについて解説します。

まず、あおむけになります。床でもベッドでもかまいませんが、完全に目覚めている状態で行えるようになることを目指します。部屋は、適度な暖かさで。部屋が寒いようなときは、毛布をかけておこないます。
自分の呼吸活動を、やさしく観察することからスタートします。その後に、左足のつま先へ注意をもっていきます。左足先よりスタートして、左足のつけね(左股あたり)まで、スキャナーでスキャンしていくように、「今、この瞬間に」感じている感覚をひろいあげていきます。部位により暖かく感じたり、冷たく感じとれるかもしれません。靴下があたっている感覚や、かかとが床に触れているところの感覚などがよくひろえるでしょうし、何も感じないところもあるでしょう。レーズンエクササイズで試みたように、注意を集中して、そこになるべく多くの意識をむけることで、普段なら全く見逃してしまいそうな感覚をひろいあげる(気づく)ことが目的になります。ただ観察することを目指し、好奇心を働かせますが、一方で力まず、やさしい気持ちでやっていきます。熱心に、それでいて力まずといったような矛盾したテーマがマインドフルネスには要求されます。実はこのような関わり方こそ、習得を目指している新しい関わり方、になります。また、自動操縦状態が頻繁に出てきては、あらぬ方向へと心が運ばれてしまい、何をしているかさえ忘れてしまうことを繰り返しますし、気がついたら寝てしまっていることもよくおこります(^^)。自動操縦状態に運ばれたとしても、イライラせずに、やさしくもとの観察しようとしている部位へ注意をもどします。100回でも200回でも、何度でもそれを繰り返すことが、この練習と言ってよいかもしれません(>_<)。
左足をスキャンしたあとは、同じようにして、右足のつま先から右足のつけねまでをスキャンします。その次には、胴体を下半身から首下までスキャンします。その次に、両手同時に、指先から肩あたりまでスキャンしていきます。そして、最後に、首、顔、後頭部、頭のてっぺんとスキャンをすすめていきます。
痛みやこりを感じたところへ、呼吸の流れにのって空気を送り込み、吐くと同時に、老廃物のように痛みやこりの原因が流れ出るようなイメージを通して、リラクゼーションをおこす技法を併用しますが、この感覚を身につけるのには練習が必要になります。ただ観る技法(受容)と併せて、ヨガやストレッチの経験が必要になると考えています。
これらを音声ガイダンスにそって行っていきます。英語版のJ.カバットジン氏によるものはネットにて手に入りますが、残念なことに日本語版はまだありません。当院では、自前で作成したガイダンスCDを用いて練習しています。

ボディースキャンは、朝のうちにすることが推奨されています。運動したり、熱めのシャワーをあびたり、コーヒーをのんだりして目を覚ました後にやるようにして、二度寝にならないように工夫します。また、継続して取り組んでいこうとした際にも、いろんな問題が続出してきます。うまくやろうとして、できずにイライラしたり、良い結果を期待して、得られずにがっかりしたり、ついついすっぽかしてしまい、後ろめたい気持ちになったりします。それら全てに意味があり、全体の中でそのような体験を正直に話しながら、気づきと、新しい関わり方とを少しずつ身につけていきます。

「忙しい毎日の中で、そんな時間などとれない!」という声もよく聞かれます。ボディースキャン、マインドフルネスを身につけていくなかで、自動操縦状態にまきこまれてしまい、目の前のことがみているようでみえなくなってしまっている状態に気づき、今この瞬間に意識を集中することにより、少しでも充実した時間がもどってきます。それは、レーズンに集中することで、ただ食べるのとは違った味わい、充実がもたらされたのと同じような変化です。いつもの、保育園から子供を連れ帰る忙しい時間の中で、梅のつぼみがほころびはじめたことに気づき感動したり、子供の成長に気づいて嬉しくなったりといったような体験が増えていきます。

このような、自動操縦状態からはなれ、「今、この瞬間」への気づきをむけるあり方を「あることモード」と言います。反対に、自動操縦状態にまきこまれ、あれこれと頭の中で忙しく考えているような状態を「することモード」とよんでいます。次回は、これらのことについて書く予定です。

現在、マインドフルネスは3周目になります。全8回としていましたが、今後は全10回にして行っていくこととしています。3月26日が10回目になり、4月2日が1回目となります。では。
posted by かなめクリニック at 03:12| 精神科・心療内科