2012年03月21日

かなめクリニック・リワーク活動のご紹介

こんばんは、要です。当院でのリワークデイケア活動への問い合わせが増えて参りましたので、改めまして活動内容を紹介させて頂きます。簡単な解説は、当院ホームページの、診療・デイケア・リワークに記載しています。どうぞ、ご参照下さい。

【全体の概要】
現在、当院で行っているリワークプログラムの内容について紹介いたします。
中心にしている治療技法としては、1.社会リズム療法、2.(集団)認知行動療法、3.マインドフルネス、を行っています。社会リズム療法に関しては、水島広子先生が「対人関係療法でなおす 双極性障害」の本にて詳しく紹介しています。認知療法に関しては、大野裕先生や野村総一郎先生ほかにより、今では広く知られてきています。マインドフルネスも、同じく認知療法の流れにそったものとして紹介されています。
うつ病で休職している方が、ある程度おちついた段階(不安感やイライラ感がやわらいでいる、破壊衝動が消失している、睡眠時間が<昼夜逆転をしていたとしても>確保できているなどを目安に)から、病気が治った後の、復職準備トレーニングとして利用してもらっています。
まず、現状の評価として、いくつかの評価テストを行い、どのプログラム、どの程度の参加を目指すかなどの今後のプラン、スケジュールを専門スタッフと話し合い決定していきます。実際に、活動に参加し、疲れ具合、改善具合を定期的に評価し、次の目標を話し合っていきます。その中で、社会リズム(睡眠、食事、活動、社交などのリズムです)を保つことの意義を理解し、それを記録し、薬物療法と平行しながら整えていきます。また、認知行動療法を、6人1チームとして週1回にて行っていきます。認知のゆがみをはじめ、自分の病気を理解し、自身が自分の治療者の1人になれることを目標にしています(基本編10回、応用編10回の計20回を行っています。定員制のため、すぐに参加できないこともございます)。また、従来から当院で行ってきた、SADグループ(社会不安障害を克服するための集団療法です)へ参加することで、スピーチと多岐にわたるプログラム(SST = 社交技術訓練,ロールプレイなどを含みます)、茶話会を経験し、「はじをかきすてて、社交にとびこむ」勇気と体験をはぐくみます。はじをかきすてることができる勇気は、その後の生活をずいぶんと積極的にかえ、視野や世界をひろげることにつながっていくように思います。むしろ、もっとも重要なスキルといってよいかもしれません。うつ病は、朝の病気、と呼ばれるように、朝の調子が悪い場合が多く、なるべく午前中に運動プログラムを多くとりいれています。ランニングマシーン、エアロバイク、風船バレー、ミニサッカー、ストレッチ、卓球、バド卓球(バドミントンと卓球をあわせたもの)などを行っています。案外、大人が集まって運動する機会は減ってきており(もちろん、ジム、ゴルフや運動クラブに属し、運動を楽しめている人も多いと思いますが、うつを契機にはなれてしまったりで・・・)、改めて運動することの楽しさや、アナログなゲームのおもしろさを思い出せます。細かなことを考えずに、参加し、同じ病気をかかえ、つらい経験をした人が集まって活動したり、話し合ったりするだけで、孤独感から解放され、何となく勇気や元気がわいてくるという感じを経験します。まだ不調(おっくうさ、たのしめない、リズムの崩れ)を残しての参加の場合には、とりあえず運動プログラムやSADグループのみに参加することもよいと思います。
リワークへの参加を通して、ぜひ思い出してほしいのは、「人が集まることは楽しい」という感覚です。これが、リワークへ参加しはじめた段階での最初の課題と言ってよいかと思います。小さい子供達をみていると、最初はだまっていても、しばらくすると、すぐに戯れて遊び出します。いつの間にか身についた、「人が集まることは苦しいこと」という感覚で参加し続けるならば、我慢の練習となり、そのようなものは、結局は続かないでしょう。適度な不安、緊張を乗り越えることによって「楽しさ」を発見できるようになることが、よりしっかりとした興味関心の回復、そして自信につながっていきます。
他のプログラムとして、脳トレやクレペリン検査、パソコンタイピングのプログラムがあります。これらを繰り返し行うことにより、作業能率(頭の回転)は案外回復していきますし、その回復自体が自信へとつながっていきます。オフィスワークというプログラムでは、各個人で目標を決め、それに伴った作業を行います。例えば、【目標】集中力をつけたい → 【ワーク】読書を集中して1時間行う、などです。スタッフと一緒に計画をたてることもできます。また参加者で集まり、テーマを決め、例えば、【仕事に役立つ手帳術】、【ディベートの仕方】、【スケジューリングについて】など、話し合いながら、調べてまとめていくワークなどをなるべく主体的に行っていきます。
リワークへの参加は、徐々に主体的・積極的となり、自分なりの意義をみいだしていけるようになることが重要点(コツ)となります。与えられたリワークという時間を通して、自分なりのものを思い出したり、みつけたり、学べるようになっていくことが、後半の大事な課題となります。回復していかれた多くの方が、「もちろんつらくもあったのですが、このような時間は、自分や家族にとって大切な時間であったと思います。これからにとって、とても必要な時間であったと思います。」とよく話してくれます。
復職への目安としては、1〜2ヶ月をフルで(週5日、午前、午後のプログラムへ)疲れをためすぎずに参加できることと設定しています。その過程で、かなりの体力、社交能力、疾病理解、再発予防スキルをみにつけています。どんなに改善してきている人でも、いざ復職が近づくと、少なからず不安をかかえます。その不安などを、ミーティングプログラムにて、みんなで話し合います。集団リフレーミングのような形をとり、みんなで共有し、学び、応援しながら、完全に消すことのできない不安といかに過ごすか、そのような自分をいかにやさしい気持ちで見守り、応援していくかを練習します。
「マインドフルネス」というプログラムについて。これは認知療法として紹介されたり、瞑想法として紹介されたりしています。坐禅をもとにした瞑想法が、アメリカに渡り、末期ガン患者の痛みの軽減などに有効であることが確かめられ、さらにはうつ病の再発を防ぐ手だてとして、非常に効果があると科学的に証明されているセルフヘルプの技法です。リワークプログラムの柱として、いくつかのデイケアにてすでに取り入れられています。より宗教的な要素を取り除き、瞑想を治療技法として確立したものがそれにあたります。当院でも、このプログラムを大切な柱としてとりいれています。マインドフルネス認知療法に関しては、現在ブログで紹介を続けていますので、興味のある方は、そちらをご参照ください。一番にはうつ病の再発予防を目的としていますが、マインドフルネスを継続してやっていくことは、その人のストレス耐性を高め、人間的成長に寄与していくことが紹介されています。

以上が、当院リワークデイケアの概要になります。

当院以外のクリニックや病院にかかりながら、リワークデイケアのみを利用することも可能です。その場合、まずは主治医にリワークについてご相談ください。かかりつけ主治医より利用許可が出ましたら、当院までご連絡をください。まず見学を行い、利用を希望される場合には、初回だけ、当院担当医の診察を受けて頂きます(※ この時点で、当院担当医の判断により利用をお断りする場合もあります。どうかご了承下さい)。その後に、担当スタッフを決定して、リワークの同意書作成を行った後、通所開始となります。
利用者が多くなってきました時には、参加順番待ちの予約とさせて頂き、すぐには参加できないこともありますことを、何卒ご了承下さい。

【個別プログラムの紹介】
・ SADグループ(過去のブログ記事に紹介をのせています)
・ 認知行動療法 (マインドフルネスの紹介後に、ブログにて紹介予定です)
・ マインドフルネス(現在、ブログにて紹介をしている途中です)
・ 脳トレ
・ クレペリン検査 (作業能率などを評価する検査です)
・ パソコンタイピング
・ 職業適性検査 (厚労省にて作成された検査です)
・ オフィスワーク
・ ミーティング
・ 大掃除 (掃除も大切なワークです(^^))

 【当院での実績】
 平成23年8月1日よりスタートしました。平成24年1月末までに「うつによる休職からの復職をめざすために」当院リワークを利用して頂きました方は32名でした。その内、5年以上の経過にある方が12名で最も多く、2年以上の不適応状態(休職の繰り返し等)にある方が21名でした。平成24年1月末の時点で、32名の利用者中、12名の方が復職をされ、その方達のリワーク利用期間は平均3ヶ月となっています。
 
                        平成24年3月  院長  要 斉
posted by かなめクリニック at 01:51| リワーク