2008年08月04日

社会不安障害の治療(SAD7)

暑中お見舞い申し上げます。もう海などへは行きましたでしょうか。せみが猛烈にないています。夜の花火は大勢の人だかりで、まつりにも熱気があり、にぎわいをみせています。どのような夏を過ごしていますか。

第七回 社会不安障害の治療の落とし穴
いざ、不安・緊張・恐怖の治療を開始しても、かえって悪くなったと感じる人が結構います。やればやるほどみじめな体験をつみかさね、「こんなことならやるんじゃなかった」とため息をつき、「自分の場合は、もっと根の深い別の病気で、みんなと違い、不安にむかっていってもなおりっこない。その証拠に、これまでも不安にいろいろとたちむかったけど、いつもダメだった、これからもダメだ。この方法ではやはりだめだ、相談しても何もかわらないしわかってもらえない、あきらめよう」と。こんな落とし穴に陥ってしまい、治療をあきらめてしまいます。社会不安障害は、見逃されてきた障害、と言われますが、多くの人が悩んでいるにもかかわらずその存在が見逃されてきた背景には、このような再び水面下にもぐってしまうことが関係しています。
山登りをしているときに、はるか頂上をみると、とてもあそこまではいけないと思ったり、少々進んでも全然と近づいていないような気がしたりします。ほかの人と比べると、自分を追い抜いていく人や、ずいぶんと先まで進んでいる人があり、まるで自分がとり残されて、どんどんと後ろに下がっていくかのような錯覚にさえ陥ります。ここで奮起する人もあるでしょうが、多くの場合は、絶望から頂上へと進むことをあきらめてしまう。そういうことです。人と比較して、自分のマイナスな部分にばかり目がいってしまう。せっかく頑張っているのに、ダメなところばかりが記憶に残ってしまう。そうして、せっかく治るための貴重な経験が、みじめな体験として残り、気力をなくしてしまいます。大切なことは、人との比較ではなく、比較するものは、過去もしくは現在の自分であり、その一歩一歩の成長を確かめて、喜んでいけることにあります。先日とある芸能人が、「一日の終わりに、その日の自分のよかった点を3つ思い出して眠るようにしています」と話していました。このよい点に気づけるかどうかが、不安症治療のコツとなります。それはつまり、マイナス思考からプラス思考へということにも同じです。〜つづく〜

社会不安障害について、を連載してはや1年半になりました。あと3回の、計10回を予定しています。おたのしみに。
posted by かなめクリニック at 16:09| 精神科・心療内科